結婚生活で一番揉めるのは「お金の価値観」

結婚を考えるとき、誰もが「性格の相性」や「気が合うこと」「一緒にいて楽しいこと」を大事にします。もちろんそれは結婚の大切な土台です。ですが、実際に長い結婚生活を送るうえで、一番大きな壁となりやすいものは何かといえば――。

それは「お金の使い方や考え方の違い」です。

私が相談所で日々会員様をお世話している中でも、このテーマは何度も耳にしてきました。ときに結婚直前や成婚退会の後でさえも、深刻な問題となって夫婦の間に溝をつくってしまうことがあります。

卒業会員のケース

実際にあったケースをひとつご紹介します。

ある男性会員様が、無事にご成婚されて卒業していかれました。ところが、後日、そのお相手の女性から「喧嘩になってしまった」との報告を受けたのです。原因は、お金に関することでした。

女性はこう言っていました。

「結婚するまでは、デート代もスマートに奢ってくれたし、頼もしく“お金のことは任せろ”という感じだったのに、結婚が決まった途端に財布の紐が固くなって、急にケチに見えてしまったんです」

男性からすれば、結婚前と結婚後でお金の意識を切り替えただけでした。独身時代は自分の収入の範囲で自由に振る舞えますが、結婚が決まれば、家計を考え、将来の生活や子育て、老後の準備まで視野に入れなければなりません。彼は「家族を守る責任感」から堅実なスタイルに変えたのです。

ところが女性から見ると、「急に変わってしまった」「騙された気がする」と映ってしまった。この小さな感覚のズレが、大きな喧嘩に発展してしまいました。幸い二人は冷静に話し合って歩み寄り、仲直りできましたが、このようなケースは珍しくありません。

お金の価値観は「生活の土台」

お金の問題は感情論だけでは片づけられません。住居費、食費、光熱費、保険、教育費、そして将来の備え――結婚生活はお金と切り離せない現実の連続です。

だからこそ、お金への考え方が違うと、日常のあらゆる場面で衝突が起こります。
「今を楽しみたい」か「将来に備えたい」か。
「貯金を優先する」か「投資で増やす」か。
「家計は二人で一元管理する」か「お小遣い制にする」か。

どれも正解・不正解があるわけではありません。ですが、違いが積み重なると「どうして分かってくれないの?」という不満に変わり、やがて夫婦関係そのものを揺るがしてしまうのです。

結婚前に「話しておくべきこと」

交際中は、デート代やプレゼントといった場面が中心で、お金の価値観は表面的にしか見えてきません。結婚を意識するなら、勇気を出して「お金の話」をしてみてください。

・月々どれくらい貯金をしているか
・結婚後の家計管理はどうしたいか
・将来の生活水準や住宅購入の希望
・お小遣い制にするのか、別財布にするのか

これらを話し合うのは、決してロマンチックではないかもしれません。しかし、ここを避けて結婚してしまうと、後で必ずすれ違いが生じます。むしろ、現実的なテーマを一緒に考えられるかどうかこそが、結婚相手としての相性を測る重要なポイントなのです。

「同じ方向を向ける人」と結婚を

結婚はゴールではなくスタートです。長い人生を共に歩むパートナーだからこそ、「お金の価値観が近い人」と結婚することが、幸せな生活を守る大きなカギになります。

完全に一致する必要はありません。大切なのは「歩み寄れるかどうか」です。片方が浪費家で片方が極端な倹約家だと、譲り合えずに疲弊してしまいます。しかし、多少の違いがあっても、「相手の考えを理解して、一緒に折り合いをつけよう」と思える関係なら、安定した家庭を築くことができます。

まとめ

結婚生活で一番揉めやすいのは「お金の考え方の違い」。これは相談所での経験からも間違いのない事実です。今回ご紹介した卒業会員のカップルのように、「結婚前と後でお金に対する態度が変わった」と感じただけでも、大きな衝突につながってしまいます。

結婚を考える皆さんには、ぜひ「お金の価値観」というテーマを避けずに話し合っていただきたいと思います。そして、理想は「考え方が似ている人」と出会い、共通の未来を描けることです。結婚は二人三脚の共同生活。歩調を合わせられる相手となら、安心して前に進むことができます。