新しい命の誕生
2025年8月12日、新しい生命の誕生の報告を受けました。
4年前、当時34歳同士でご成婚されたカップルに、元気な男の子が誕生したのです。
お二人は「最短結婚ナビ」の会員様でした。
婚活期間中も、結婚が決まったあとも、本当に仲の良いお二人。笑顔で送り出したあの日から、きっと幸せな毎日を過ごしているのだろうと、私は思っていました。
でも、結婚生活は、結婚式でゴールではありません。
そこから始まる日常の中で、嬉しいこともあれば、悩みやすれ違いも訪れます。
まさか、そのお二人から、あんな夜に連絡が来るとは――。
冬の夜10時のLINE
それは、ご成婚から3年後の冬。
時計の針が10時を回った頃でした。
「鎌田さん、家出してきました」
スマホの画面を見た瞬間、私は背筋がピンと伸びました。
送信主は、あの時の女性会員さん。
結婚式で純白のドレスを着ていた、あの幸せそうな笑顔が浮かびます。
あわてて電話をかけると、泣きながら経緯を話してくれました。
「妊活がうまくいかなくて……夫とも、なんだか気持ちがすれ違ってしまって……気づいたら、家を飛び出していました」
涙声の向こうに、孤独や焦り、やり場のない思いがにじんでいました。
私は静かに耳を傾け、そしてゆっくりと言いました。
「〇〇さん、とにかく今日は家に戻ってね。私が〇〇くんにこれから電話して、しっかり叱っておくから」
彼女は少し笑いながら「はい……」と答えました。
その笑い声が、小さな希望のように感じられました。
新宿での飲み会作戦
数日後、私は夫である〇〇くんを新宿に呼び出しました。
ただ二人で話すのではなく、ある“仕掛け”をしました。
同席したのは、私の相談所の卒業生で、妊活の末に可愛いお嬢さんを授かった男性。
彼も過去に、奥様と何度も涙を流しながら妊活を乗り越えてきた経験を持っています。
その夜、3人でテーブルを囲み、お酒を酌み交わしながら話をしました。
妊活は、精神的にも肉体的にも、女性の負担が圧倒的に大きいこと。
そして、だからこそ男性が何をできるかが、夫婦の絆を決めるということ。
卒業生の男性は、自分の体験を赤裸々に語ってくれました。
「僕も最初は“頑張ろう”って軽く言ってしまってたんです。でも、妻の気持ちを本当に理解できてなかった。検査や治療の痛み、結果が出ないときの絶望感――男の僕には経験できないことだからこそ、寄り添う努力が必要だった」
〇〇くんは、黙って聞いていました。
でも、その表情には、少しずつ気づきが広がっていくのが見えました。
私は最後にこう言いました。
「夫婦って、順風満帆なときよりも、苦しいときをどう乗り越えるかで未来が変わるの。特に妊活は二人の試練。でも、二人で一緒に立ち向かえば、乗り越えたときにもっと深くつながれる」
1年半後の嬉しい報告
あの夜から、1年半が経ちました。
その間、お二人は何度も話し合い、時にはケンカもあったそうです。
でも、「向き合うこと」をやめなかった。
そして、今年の夏。
私のLINEに、あの日とはまるで違うトーンのメッセージが届きました。
『鎌田さん、お久しぶりです。〇〇です。
以前、新宿でお食事会をしていただいた際はありがとうございました。
私事ですが、本日、無事に男の子が生まれました。母子ともに健康です』
そこには、赤ちゃんを抱いた幸せいっぱいの3人の笑顔の写真が添えられていました。
見た瞬間、胸が熱くなり、涙がこぼれました。
仲人としての想い
仲人の仕事をしていると、婚活中の悩みや葛藤に寄り添うことが多いです。
でも、本当の意味での“サポート”は、成婚後にも必要だと感じます。
結婚はゴールではなく、スタート。
結婚生活の中には、予想もしなかった出来事が待っています。
その中には、妊活のように、心身ともに大きな負担がかかる試練もあります。
お二人の場合も、あの冬の夜に家を飛び出したままだったら、今の笑顔はなかったかもしれません。
でも、「戻って向き合う」という選択をしたからこそ、新しい命に出会えたのです。
最後に
この仕事をしていて、本当に良かったと思える瞬間があります。
それは、こうして成婚後のお二人の人生に、新しい物語が生まれたときです。
画面に映る赤ちゃんの笑顔を見ながら、私は改めて思いました。
婚活は、ただ相手を探すだけの活動ではありません。
未来を共に築いていけるパートナーと出会い、その先の人生を育んでいくための、大切な第一歩なのです。
〇〇さん、そして〇〇くん、本当におめでとうございます。
これからも、笑顔と愛情にあふれたご家庭を築いていってください。
私もずっと、遠くから応援しています。