もう無理かもしれない」から始まった、彼女の幸せな結婚

「もう私、結婚できないかもしれません」

41歳の女性会員様がそう言ったのは、活動を始めて2年が過ぎた頃のことでした。

最初にお会いしたとき、彼女はとても聡明で優しい印象の女性でした。見た目にも気を配り、言葉遣いも丁寧で、「どうしてこの方が、いま独身なのだろう?」と感じたほどです。

でも、その“ちゃんとした感じ”が、かえって恋愛や婚活を難しくしていることもあるのだと、私は経験上知っていました。

ご縁に恵まれなかったわけではありません。
交際に進んだお相手も何人かいらっしゃいましたし、その中には、条件的にも性格的にも申し分のない方もいました。

でも、なぜか、気持ちがついていかない。

「いい人だと思うんです。でも、何かが違う気がして……」

その「何か」が何か、本人もはっきりとはわからない。
だけど、「この人と結婚する」という確信が持てない。
そんなもやもやの中で、交際が自然消滅していくこともありました。

そうしているうちに1年、2年と時間が過ぎ、周囲の友人たちは次々と結婚・出産していきます。
家族からは「いい人いないの?」と聞かれるたびに、笑顔でかわしてきたけれど、心の奥ではずっと焦っていたそうです。

そんな中で、ふと漏らしたのが、冒頭の言葉でした。

「もう結婚できないかもしれません。活動も、やめたいです……」

彼女の気持ちも、痛いほどわかります。
一生懸命やっているのに、結果が出ない。
しかもそれが“人生の幸せ”に直結することなら、落ち込むなというほうが無理というものです。

でも私は、すぐに「わかりました」とは言いませんでした。

「やめるのは、いつでもできます。でも、いまが“本当のスタート”になる可能性もあるんですよ」

と、そうお伝えしました。

彼女は、その言葉をしばらく噛みしめるように黙ってから、こう言いました。

「……最後に、もう一度だけ頑張ってみてもいいですか?」

その時の彼女の目は、以前よりもずっと強く、そして澄んでいました。

そこからの彼女は、明らかに変わりました。

まず、お相手を選ぶ視点が変わったのです。
以前は、「この人に好かれるかどうか」「結婚相手として完璧かどうか」と、“評価する視点”が強かったように思います。

でも、活動再開後の彼女は、自分の感情にもっと素直になっていました。

「この人と一緒にいると、安心するかどうか」
「自分らしくいられるかどうか」
「無理せず会話ができるかどうか」

そういう、暮らしの延長線上にあるリアルな幸せを、丁寧に探すようになっていったのです。

そして、42歳の男性と出会いました。

プロフィールだけ見れば、ごく“普通”の男性でした。
年収も、職業も、学歴も、ごく平均的。派手さはありません。
でも、彼の誠実さ、穏やかな人柄、そして何よりも「彼女を大切に思う気持ち」が、やりとりを重ねるごとにじわじわと伝わってきました。

お見合いで初めて会ったときも、彼女はこう話していました。

「会話がすごく自然で、なんだかホッとしました。うまくいくかはまだわからないけど、こういう安心感って、久しぶりかもしれません」

その後、仮交際、真剣交際と進んでいく中でも、彼は彼女の気持ちを急かすことなく、ゆっくりと寄り添ってくれました。

もちろん、交際中にすべてが順調だったわけではありません。
結婚観の違いや、住まいの希望、仕事の調整など、話し合うべきことはたくさんありました。

でも、彼女は「言いたいことを言える関係」が、どれだけ尊いものかを実感していったのです。

「気を使って言えないことが、結婚したあとにストレスになるんですよね。でも彼には、ちゃんと伝えられる。受け止めてくれる。私にとっては、それが一番大きかったかもしれません」

そう語る彼女の顔は、あの時の「やめたい」と言っていた頃とは、まるで別人のように明るく、柔らかくなっていました。

そして、活動を始めて2年――彼女は、晴れてご成婚となりました。

お相手の男性とは、この秋にも入籍予定だそうです。

「まさか、自分が結婚できるなんて思っていなかったです」と、照れながらも笑顔で話す彼女を見て、私は思わず目頭が熱くなりました。

人生は、何が起こるかわかりません。

「もう無理かもしれない」と思った先に、希望がある。
「やめようかな」と感じたその場所が、実はスタート地点だった――なんてこともあるのです。

大切なのは、自分を信じること。
そして、たとえ不安でも、もう一歩だけ踏み出してみる勇気。

その一歩が、未来を大きく変える力になるのだと、彼女は私たちに教えてくれました。

諦めなかった人には、必ず幸せが巡ってくる――
それを信じて、これからも私たちは、あなたのそばで婚活をサポートし続けます。

最短結婚ナビ
仲人 鎌田れい